日本ギリシャ協会~Japan-Greece Society~

日本ギリシャ協会は、日本とギリシャの文化交流の促進等により両国民の相互理解と友好親善を図るため、1972年に設立された団体です。

ギリシャに興味のある方、少しつきあってみたい方のサイトです。

My Greece

My Greece-私のとっておきギリシャ-

 私の秘密のギリシャをそっと教えます。



 会員石垣由美子様に『エーゲ海、大人リゾート』の連載をお願いしております。

 今回はシリーズ最後の上級編をいただきました。有難うございました

エーゲ海、大人リゾート上級編 アロニソス島

石垣由美子

モンク・アザラシ保護の看板。アロニソス島ではアザラシをモチーフにしたお土産がたくさん売られています。
モンク・アザラシ保護の看板。アロニソス島ではアザラシをモチーフにしたお土産がたくさん売られています。

 初級編、中級編と、独断と偏見で続けて来たこのシリーズ、最終回の上級編はスポラデス諸島のアロニソス島です。

 私が上級編に選ぶなら、この島しかない!と思ったのにはいくつか理由があります。
 まずはその場所。この島は少し行きづらい場所にあるのです。
 スポラデス諸島は、映画『マンマ・ミーア』の舞台となった、スキアトス島とスコペロス島で注目されましたが、アロニソス島はその少し先。もちろん空港はありません。さらにフェリーもお馴染みのピレウス港からではなく、アギオス・コンスタンチノス港からとなるため、よくアテネから島へ渡るという人でも、馴染みがないかもしれません。

 続いて、その特殊性。周辺の海域がヨーローッパ最大の海洋公園に指定されていて、科学的にもとても重要な地域なのです。
 アロニソス島には絶滅危惧種の地中海モンク・アザラシが生息していますし、周辺の小島ではその島の固有種である野生のヤギや、希少な鳥、植物が多種存在し、保護されています。

MOmのインフォメーションセンター。MOmはモンク・アザラシの研究と保護のための協会で、国際自然保護連合IUCN(International Union for Conservaion of Nature)のメンバーです。
MOmのインフォメーションセンター。MOmはモンク・アザラシの研究と保護のための協会で、国際自然保護連合IUCN(International Union for Conservaion of Nature)のメンバーです。

海に向かう島のメインロード
海に向かう島のメインロード

山の上の村、Horaの広場でくつろぐ人たち
山の上の村、Horaの広場でくつろぐ人たち

 さらに、アロニソス島のこのような特性が、世界中からナチュラリストを呼び寄せるのでしょうか。島には自然療法ホメオパシーのセンターがあったり、ヨガスタジオをはじめ、スピリチュアルなヒーリングサロンが目につくのも、他の島にはない特徴です。
 私が訪れた日は、ちょうど島をあげてのマラソン大会が開かれていて賑やかでしたが、夜遅くまで騒いでいるグループもなく、港のタベルナも、他の島と比べると早い時間に閉店してしまう印象でした。

 さて、この島一番の目玉はもちろんマリンパーク。
 かつてはアロニソス島本土と地続きだったマリンパーク内の島を巡るボートツアーが港から出ていて、運が良ければイルカやモンク・アザラシを見ることができるのです。

 
しかし、私がボートツアーに参加できる唯一の日はあいにくのお天気。
 老舗ボートのキャプテンは天気が悪いとイルカが来ないからと、すでに出港しないことを決めていましたが、別のボートにあたると、ツアーの敢行を決定していました。それというのも、その日がたまたま聖母マリアの誕生日で、上陸予定の島の修道院でお祝いがあり、スタッフがそこに行きたがっているから、と言うのです。

聖母マリアの誕生に捧げられた修道院、キラ・バナギアで整備マリアの誕生日をお祝いしています。
聖母マリアの誕生に捧げられた修道院、キラ・バナギアで整備マリアの誕生日をお祝いしています。

キラ・バナギアの敷地内にある古い厨房。2台ある薪式オーブンのうちの1台は今でも現役です。
キラ・バナギアの敷地内にある古い厨房。2台ある薪式オーブンのうちの1台は今でも現役です。

 当日はやはり曇り空。風も強く、通常とは違うコースを取ったようですが、修道院のある島、キラ・パナギアに着いた時は日が射して、穏やかな空気に包まれました。
 古くて小さな修道院ですが、この日のためにアトス山から修道士がやってきていて、厨房では大きな鍋でお祝いの料理が準備されていました。
 私たち観光客も、特別なパンと、結婚式などでも振る舞われるというヤギの肉がのったトマトソースのパスタを頂きました。

 他にもいくつか見所をまわり、とうとうアロニソスへの帰り道、やはりイルカには出会えなかったなぁと思っていると、スタッフの1人が海に向かって声を掛けています。どうやらイルカを呼んでいるようでした。私たちも全員甲板に出て、イルカの姿を探します。
 しばらくして、誰かが「見て!」と叫び、指差した方向に目をやると、一匹のイルカが見事なジャンプを見せてくれました。その後しばらく私たちの船と並んで泳ぎ、海に潜って見えなくなったと思うと、今度は逆サイドで誰かが発見。その叫び声とともに全員が移動し、ここだ、あそこだ、と大騒ぎ。するとまた見えなくなって、再び逆サイドに現れて・・・という繰り返しでしばらくの間私たちを楽しませてくれたのでした。

マリンパーク内の見どころの一つ、古代の難破船は歴史上重要な資料です。
マリンパーク内の見どころの一つ、古代の難破船は歴史上重要な資料です。

ASAP(Alonnisos Society for Animal Protection) 動物に優しい島
ASAP(Alonnisos Society for Animal Protection) 動物に優しい島

 実は事前に「天気が悪いから、イルカは見れないよね?」と聞いた私に、スタッフは「群れには会えないと思うけど、一匹なら見れると思うよ」と答えていたのです。そのスタッフが呼べば現れてくれる友達のイルカだったのかも知れません。

 遊び好きのイルカと比べると臆病なモンク・アザラシは、滅多に人前に姿を現さないと聞いていましたが、島を離れる際の船で隣りの席だったイギリス人の老夫婦は、もう何度もサマーハウス前の海岸で見かけているとのことでした。
 いずれは島のあちこちで、モンク・アザラシが見られるようになっているかもしれませんね。

 便利さと引き換えに、自然との共存を失った都会と比べると、島の生活は不便なこともあるでしょう。しかしそれは誰もが癒され、安らげる本来の姿なのではないでしょうか。
 
 ゴルフ場や豪華なスパ、近代的なホテルや品揃えが豊富なショッピングモールなどなくても、澄み切ったエネルギーと親切な人々が迎えてくれるギリシャの島は、もう充分に物質社会を味わい尽くし、成熟した大人のためのリゾートであり、地球の未来の理想の姿なのではないかと思うのです。

遊びに来てくれたイルカの写真
遊びに来てくれたイルカの写真


エーゲ海、大人リゾート中級編 ヒオス島

石垣由美子

ネアモニ修道院
ネアモニ修道院

 今回は東エーゲ海のヒオス島を紹介したいと思います。
 トルコに近く、エキゾチックな雰囲気に包まれた島ですが、空港があるので、飛行機なら簡単に訪れることができます。

  ビザンチン建築の傑作として世界遺産に登録されているネア・モニ修道院や、ドラクロワが描き、ヴィクトル・ユーゴーが詠んだ「キオスの大虐殺」と呼ばれる悲痛な歴史でも世界的に知られています。

 さらに興味深いのが、地球上でこの島の、しかも南の一部でしか採れない魔法の樹液、マスティハ(英語はマスティック)と、マスティハを栽培する24の個性的な村、マスティホホリアです。
 マスティハといえばギリシャ通の方にはお馴染みの、かつては黄金並の価値で取引され、コロンブスが夢中になった樹液です。薬学の父ディオスコリデスや、医学の父ヒポクラテスからも注目され、古代より愛用されていました。
 最近ではさらに研究が進み、医療と美容の両面でさまざまな効果があることが科学的にも明らかになっています。

 ここではいま流行のエコツーリズム、ヒオス島の豊かな自然を堪能しながら、マスティハの達人になる、というマスティハ体験ツアーがおすすめです。

カストロ地区
カストロ地区

賑やかなヒオスタウンの商店街
賑やかなヒオスタウンの商店街

 ただひとつだけ、このツアーに参加するにあたり、難題がありました。
 というのは、これがメスタという南部の村での現地集合、現地解散で、ヒオスタウンに滞在していた私には帰りの足がないという事でした。ヒオス島は大きな島でありながら、バスの便が少なく、交通が不便なのです。

 「なぁに、何の心配もいらないよ!その時になればどうにかなるさ。余計な心配してないで、楽しんで来なよ!いいかい?世の中ってのは、思ってるよりずっと単純にできているんだ」

 帰りのバスがない事で、タクシーの手配など、あれこれと相談していた旅行会社のおじさんの言葉です。さすが哲学

マスティハのしずく
マスティハのしずく

の国。その辺のおじさんやおばさんが、時々まるで覚者のようなことを言って、旅人である私を導いてくれます。

 さて、マスティカルチャー主催のマスティックマスターツアーは、若いイケメンのガイドがついて、自生しているハーブやオリーブの説明を聞きながら農地を散策し、まずは自分たちで食べるミニトマトやミニキュウリを収穫します。

マスティホホリオ、ピルギ村
マスティホホリオ、ピルギ村

マスティホホリオ、メスタ村の農道を歩く
マスティホホリオ、メスタ村の農道を歩く


 そして夕刻のやわらかい日差しの中到着したマスティハ畑では、地面に落ちたしずくが、低い木漏れ日にキラキラと輝きながら我々を待っていました。

マスティハ畑に到着
マスティハ畑に到着

 そこでガイドからマスティハの講習を受け、続いて実習です。
 木の根元をほうきで掃き、平らにしてから、マスティハのしずくを受け止める石灰を敷き、ベッドを整えます。私たち女性の参加者がここを担当すると、マスティハの幹にナイフで傷を付けるワイルドなパートを男性の参加者が担当しました。

 こうして見事マスティックマスターとなった我々は、ヒオス島で作られた特別な葡萄酒で乾杯しました。おつまみはヒオス島のチーズやオリーブ、乾燥イチジクに、殻付きアーモンド、伝統の薪のオーブンで焼いたパン、そして先ほど自分たちで収穫したフレッシュなトマトとキュウリです。

マスティハ収穫実習
マスティハ収穫実習

マスティハ畑の中でピクニックの準備
マスティハ畑の中でピクニックの準備

 はたして私の帰り道ですが、宿泊先のカンボスからレンタカーで参加していたギリシャ人カップルが送ってくれる事になりました。

 カンボスは柑橘系の果樹園が放つ芳香の中、石造りの重厚な邸宅が立ち並ぶ地区です。宿泊施設も立派な庭園があったり、アンティークな調度品を備えたものが多く、長期滞在で、レンタカーが借りられるなら、ヒオスでは是非泊まってみたい地域です。

掃き集めたマスティハを選別する村民
掃き集めたマスティハを選別する村民

石垣様のブログへ
石垣様のブログへ


 まだまだ見所の多いヒオス島。そしてそのいずれもがこの島でしか味わう事のできない魅力的なものばかりなので、ここを訪れた人は誰でも、自分だけの宝物を見つけて帰ることができるに違いありません。

エーゲ海、大人リゾート初級編 アンティパロス島

石垣由美子

アンティパロス島のメインストリート
アンティパロス島のメインストリート

 一般にエーゲ海の島と言って思い浮かべるのは、青い屋根の教会と白い建物のキクラデス諸島でしょう。しかしギリシャ通の方々にとっては、若者が大挙して押し寄せ、シーズン中は不夜城と化すそこは、あまりに賑やか過ぎると敬遠しがちかもしれません。 

 そこで今回はそんな最もエーゲ海らしいキクラデス諸島にありながら、優雅にそしてユニークな「大人リゾー
ト」が楽しめる島として、アンティパロス島での滞在を紹介したいと思います。

 アンティパロス島はエーゲ海諸島間のハブ港として機能する賑やかなパロス島から、バス並みのスケジュールで往復しているフェリーで、ほんの数分のところにある静かな島です。

 青い屋根の教会、大きな風車、白壁をバックに咲きこ

カストロ内の住宅
カストロ内の住宅

アンティパロス島の洞窟
アンティパロス島の洞窟

ぼれるピンク色のブーゲンビリア、一見何の変哲もなさそうなこの島の一番の見所は意外や意外、海でも空でもありません。なんとそれは、その中心から地底に伸びるミステリアスな鍾乳洞なのです。

洞窟内を上から見下ろす
洞窟内を上から見下ろす

 この洞窟の存在は、住人には長いこと知られていましたが、1673年、フランス大使が明かりを伴い内部に降りて行ったことで、その全容が明らかになりました。奇しくもその日はクリスマスだったので、手頃な石筍を祭壇に見立て、真夜中にクリスマス

クリスマスミサが行われたあたり
クリスマスミサが行われたあたり

のミサを祝ったそうです。

 ヨーロッパで最も古いと推定される巨大な石筍に迎えられ、400段もの階段を下り、深さ100メートルまで繰り広げられる不思議な光景が、まさかエーゲ海のこんなに小さな島で見られるとは誰も思わないでしょう。



かつてここを訪れた人々のサイン
かつてここを訪れた人々のサイン

ビーチ巡りのデイリークルーズ
ビーチ巡りのデイリークルーズ

 アンティパロス島で特筆すべきは、これだけにとどまりません。
 隣接するデスポティコ島はデロス島同様、古代エーゲ海のセンターとして栄えた考古学的に重要な場所と見られています。

 キャプテン・ベンのデイリーツアーは、フリードリンクでおいしい食事やスナックを楽しみなが

デスポティコ島に上陸
デスポティコ島に上陸

ら、アンティパロス島周辺の美しいビーチをめぐるボートツアーですが、この無人島のビーチにも上陸します。
 海水浴ではなく、遺跡が目的であれば、デスポティコ島だけに連れて行ってくれるボートも見つけることができるようです。

 港から住宅街を抜けて裏へ出ると、そこはサンセットビーチです。
 海岸沿いのタベルナが控えめにテーブルを並べ、いくつかのカップルが食事をしながら夕日を眺めています。

 某島の有名な夕日のように、満員電車並みの混雑の中、大歓声とともに夕日を見送るのも楽しい思い出ですが、ここから眺める夕日は、しばしまわりから遮断され、自分の、あるいは自分たちだけの世界に浸ることができるでしょう。

サンセットビーチ
サンセットビーチ

天体観測スポット
天体観測スポット

 夜は毎晩遅くまで望遠鏡で星を見せてくれる場所があるので、気軽に訪ねてはいかがでしょうか。
 主催者は普段アテネで武道を教えているという日本びいきの天体マニア。天体に関する解説をしているときの嬉しそうな様子と言ったらありません。
 携帯のカメラで撮らせてくれる月の写真は旅のいい思い出です。
 「妹がこの島の大ファンで、毎年この島ばかり、もう15回も来ているの。私は今回初めてここへ来て、妹の気持ちがよくわかったわ」
 そう話してくれたのは、ボートツアーでご一緒したデンマーク人のすてきな奥様。
 多くのハリウッドスターが、他ではなくここに別荘を購入しているといいます。自分だけの隠れ家を見つけた、アンティパロス島はそんな気分にさせてくれる島なのです。

石垣様のブログへ
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